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お知らせ

東京交通新聞に、“誰でも利用”に再設計 タクシー車両で区域運行「街に活気を」が掲載されました。

降車のみフリー乗降

東京の郊外にある西東京市でタクシー車両を活用した“小さな公共交通づくり”が進められている。鉄道・バスでカバーできない公共交通空白地域を対象に誰でも利用でき、ルート上では降車のみ「フリー乗降」可能というユニークな乗合タクシーだ。車いすも乗降でき、実予定員6人のミニバン車両で市内のエリアを巡り駅と繫ぐ。実証運行を手掛ける西東京市まちづくり部交通課は「小さな公共交通の投入で市民が自由に外出でき活気がある街を実現したい」と意気込んでいる。

同市の実証運行は2018年に次ぐ2度目。1度目は道路が狭くコミュニティバス(はなバス)が走れない地域の足として高齢者ら移動制約者限定の登録制で実施したが新型コロナ禍や利用者不足などで中断。この教訓から、2024年の地域公共交通計画策定にあたり「誰もが利用できる公共交通」として再設計し、本格運行を前提に昨年10月から実証を開始した。

タクシー車両は利用定員6人のミニバン(トヨタ・ノア)2台。狭い路地でも車いすが乗車できるよう、後ろから車いすが乗車できるUDタクシーだ。市内の三幸自動車(町田栄一郎社長)と大和交通保谷(中村淳社長)が道路運送法21条の許可で区域運行として運行している。

児童館、団地、公園、コミュニティセンター、住宅地などを回り、西武新宿線田無駅前の商業地までを20分ごとのパターンダイヤで往復する。利用料金は1乗車300円。エリア住民で人気が高く日常的に利用する田無駅前商業地の真ん中に始・終点の乗り場を設置したのも特徴だ。

まちづくり部交通課の石部由美子係長は「高齢者施設入居者の利用もあり、少し離れていても一度に様々な用事を済ませることができる駅前に行きたい住民ニーズに応えられた。“小さな交通”の登場を待っていてくれた、と感じた。タクシーの手厚いサービスで利用者の満足度も高い」と手応えを話す。

今年5月~7月末までは平日のみの運行に土曜日運行を追加。平日運行も午前8時台と午後5時台までダイヤを拡大。7月は実証開始以来最高の月833人利用を達成した。「平日日中の利用者にとどまらず、共働き世代や外来者などにも利用の幅を広げ、より公共性を高めたかった」と田中弘孝主任。

本格運行に向けて小貫誠二課長は「公費負担額と利便性のバランスになる。だれでも気軽に使えて外出を楽しめる街を実現するために、さまざまな方法で利用の促進と、一乗車一人当たりの公費を抑制していくことが重要。知恵を絞り認知度を上げたい」と話す。

運行するタクシー会社も評価する。市地域公共交通会議の委員を務める三幸自動車の町田社長は「実証期間をしっかり確保し実証中でも運行時間や曜日を拡大するなど柔軟な対応は素晴らしい。本格運行を目指す市の意気込みを感じる。利用者へのインセンティブも移動にとどまらず外出の目的まで視野に入れ設計している」と話す。

大和交通保谷の統括運行管理者の伊東克彦さんは「乗務員も協力的で社内では“バス”の愛称で親しまれている。高齢者の外出機会を増やし元気な状態を維持する重要性を認識する市の姿勢に感心する。東京の郊外部ならではの地域に根差したタクシーのあり方を展望する上でも貴重な機会をいただいた。本格運行でタクシーに役割を求められるなら、ぜひ関わりたい」と地域とともにあるタクシーの心意気を語った。

実証実験後に本格運行に至らず消えていく“小さな交通”も少なくない。過去の実証実験の課題を克服し、本格運行を目指す。行政の“本気”が成功のカギを握っている。

〔写真説明〕
移動の目的にも目を向け、利便性の高い駅前商業地の中に乗り場を設けた(西武新宿線田無駅北口)