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交通界に掲載されました(6月22号)

2020年6月22日 全タク連総会特集

地域への食い込みが問われる時代に
「タクシーの地域貢献」

三幸自動車・町田栄一郎社長に聞く

新型コロナウィルス感染防止策として全国に発令された緊急事態宣言は解除されたものの、いぜん第二波、第三波への懸念から平常に戻るのは時間がかかるとの見方が大勢だ。そうした中でタクシーが新しい生活様式にマッチした交通機関として再注目されている。国土交通省が4月21日認めた飲食物に限定されているものの、タクシーによる荷物配送はその代表例だろう。期間は9月末日までだが恒久化も取りざたされている。全国で1300を超える事業者が取扱いを開始した。ある意味ではタクシーによる地域貢献策としても捉えることもできよう。「地域貢献はそのタクシー事業者、乗務員がどれだけ地元に食い込んでいるかが試される」と指摘するのは三幸自動車(東京都西東京市)の町田栄一郎社長だ。同社は西東京市と連携した取り組みを数多く進める。全タク連地域交通員会副委員長も務める町田社長に「タクシーの地域貢献」を聞いた。(石貝)

 

 タクシーによる貨物の有償運送は道路運送法の特例措置で、貨物事業者の利害を損なわず、公共の福祉を増進させる場合に過疎地などで例外的に認めている。今回は感染症拡大に伴う自粛により飲食店に出かけられない住民への配送需要に対応し、飲食店が出前営業にシフトしたこと、さらに外出自粛でタクシーの需要が激減したことなどから、飲食店の料理をタクシーで運ぶことを認めた。

4月25日から日本交通(知識賢治社長、本社・東京都千代田区)がステーキハウス、中国料理店と提携して全国トップを切って料理デリバリーを開始、MKグループ(青木信明社長、本社・京都市南区)も28日からサービスを開始するなど全国で取扱いが進んでいる。 

日本交通・川鍋一朗会長は「1日20〜30件の利用はコンスタントにあり、根強いニーズがある」と今後の展開に自信を見せている。料理宅配は配送エリアがある程度限られることから、勢い地元密着になりやすい。三幸自動車も営業所がある地元小平市のベトナム料理店、イタリア料理店とそれぞれ提携して実施している。

 

 町田氏は「タクシー事業者の地域貢献の進むべき方向性」を考えていた時に、ふと視聴した5月の連休中のテレビ番組で紹介された事柄が、大変ヒントになったという。

それは、ギターの製作メーカー、フェンダー社幹部の発言などを紹介したもので、「私どもは単にギターを造っているわけではなく、ギターという楽器を通してミュージシャンをサポートしている。フェンダーはミュージシャンの出したい音を具現化することで、ともに音楽を売っていきたい」の言葉に大変感銘を受けたという。新型コロナウィルス後のタクシーが目指すべき地域貢献の進むべき方向性が思い浮かんだ。

 

「外出体験プログラム」の提供

 

町田氏は「この自粛宣言にて、如何に外出できないことが苦痛となることを体験したと思う。タクシーも移動したいとのお客様のニーズにただ対応していくだけでなく、お客様が潜在的に思っている外出して体験したいとのプログラムを提供していくことに進化していく必要がある」と指摘する。

これは、行先の決まっていないお客様と相談し、目的地にて何を体験したいかを相談し目的地を決めて外出を促し、その体験をしてもらうことである。

「確かに従来の地域住民の移動ニーズに対応していくことは大事なことであり、継続実施していく必要はあるが、それにプラスしてお客様が求めているものを体験プログラムとして提供していくことが今後は重要になってくるのではないか」と話す。

 

市場と商品という2つの軸をとり、それぞれ既存と新規に分けたアンゾフの4象限の市場マトリックスでいう「既存のお客様に体験プログラムという新規商品を提供する」ことである。従業員教育投資のみで、新規設備投資が不要というメリットもある。

 

変化に対応する必要性

 

 新型コロナウィルス感染拡大防止に伴い、外出需要が激減した。とくに地方の場合は午前中の通院や、通勤、ショッピング需要がタクシーを支えていた実態があったが、この需要がなくなってしまったことで、これまでの市場構図は大きく変化してきている。「外出自粛で不要不急の外出を控える傾向が進み、通院では医者と患者間でリモート診断が急増し、無理をして通院しなくても相当部分を補えることが分かったし、駅と自宅との往復需要もリモートで会議や商談がある程度こなせることが、突然の社会実験で実証された」(町田氏)としてタクシー事業者が変化に対応する必要性を強調する。

町田氏は「これまで病院に週3回通院していたのをコロナ感染が怖いから週1回にするとか―そうした動きが十分に予想できる。通勤スタイルも同様で、知り合いが八王子から都心の虎ノ門オフィスに勤めているが、訪問先が八王子市内にあるのに、わざわざ満員電車に乗って都心のオフィスに出社し、そこから再び八王子に向かう手間をかけていた。朝に自宅でのリーモートミーティングを利用してから、自宅から訪問先に直接出向いた方が効率がよいに決まっている。これは、SDGs(持続可能な開発目標)にも沿う行動で、コロナ禍はそうした流れを後押しした。ゆくゆくは都心のオフィスも必要なくなってしまうのではない」とも。人を乗せる移動体としてのタクシーの存在自体が問われることになりかねない事態だ。

町田氏によると、いわゆる移動ニーズには二種類あるという。一つは時間がかかってもよいから安く行きたいとのニーズで、これは格安バスツアーなどが該当する。そして、もう一つは値段が多少はってもとにかく時間をかけずに速く(目的地に)行きたいとのニーズだ。町田氏は「これまではその間が抜けていた。この間を満たすのがまさにタクシー利用の移動だ」に「外出してワクワク体験したい」も加わっていくと語る。

 

自宅発の地域潜在ニーズ

 

町田氏は、この自宅発の地域潜在ニーズに応えることがタクシーの地域貢献だとするが、現状のタクシー事業では忙しい時間帯と暇な時間帯の繁閑があるため、どうしても稼げる時間帯に稼ぎ、暇な時間帯のマイナスを埋めなければならない。そうなると、どうしても価格面を考慮せざるを得ない。そこで考えるべきことは時間の有効活用だという。効率化と言い換えてもよいが、大都市の場合はアプリ配車を活用できるものの、地方都市の場合は元々の需要が大都市に比べて少ないため、ある程度人出が見込める駅待機営業を主力にしなければならないとの特性がある。

一連のコロナ禍は期間限定ではあるが、飲食デリバリーのニーズを表面化させた。町田氏は「料理配送は地域の乗務員の方が向いているのではないか」とも話す。地方のタクシー乗務員は一日に何度も同じお客様を乗車させるケースが多い。乗務員とお客様がなじみになる場合も多く、「料理配達をするにしても、いつも乗せているあのお客様からのお願いだから」と意識的にも受け止めやすいという。原点は人にあるだけに双方の信頼関係が重要になってくる。「タクシーの地域貢献とはその事業者、乗務員が地元にどう食い込み、そして顔が見えるお客様にどのように寄り添っていくかだと思います」。その具体的な手法として、地元ミニコミ誌や地元コミュニティエフエムの利用を上げている。そのつながりより新しい潜在ニーズを汲み取り表面化させるのが重要であると考えている。